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妄想商会(21)~ポチの首輪〈第5話〉~*特殊アイテム

母親同士が友人関係ということから、晋吾とは小さい頃からの幼馴染であり、高校3年生の浅井奈緒を、朝の久々の偶発的な再会から、僅かその日の内に親元から引き離しペットとするという一大イベントを終え、今ようやく自宅に戻ってきた。
その手に握られた手綱の先には、首輪で繋がれた奈緒がいることは、言うまでもない。

「ただいまー。香織ー、いい子にしてたかー?」
「はーい♪ご主人様、お帰りなさい♪」
奥から待ちに待ち焦がれたという様子で、香織が元気よく出迎えに出てきた。
「あら?その“ヒト”は…?」
「ああ、今日からうちで飼うことになった“奈緒”だよ。これで香織のお留守番も寂しくなくなるだろ。仲良くするんだぞ」
「はい♪ご主人様、ありがとうございます♪…奈緒、よろしくね」
晋吾は彼の後ろに隠れるように立っていた奈緒を、香織の前に押し出して、
「ほらっ、奈緒もきちんと先輩にご挨拶…だろ」
「香織…よろしくお願いしますぅ…」
初めての環境にまだ順応し切れずに、少し不安げな様子で挨拶を交わした。

奈緒にとっては、まさに激動の一日だった。
彼女の人生に関わるなどというような、生易しいものではない。それまでの“人生”が終了し、新に取って付けの造語ではあるが“ヒト生”なるものがスタートする日になったのだから…。
須藤奈緒という名前も人間社会からは消え失せ、“奈緒”というペット名だけが残り、高校3年生という立場からの、進学または就職などという目先の将来の憂いや希望を持つ必要も無い。
ただ純粋に“新井晋吾の飼いヒト”という、可愛らしいペットの役目を果たしていけばいいのである。
もし飼い主に飽きられたり、見放されたりすれば、“野良ヒト”となるしかない運命を、新に授けられてしまったのである。

その新たな生き方を強制享受させられることとなった奈緒からは、つい数時間前の威勢のいい生意気娘の影は消え失せ、今はただオドオドするしかないというよな素振りである。
今後、彼女の記憶、性格、習性などは、全て晋吾による支配及び改定が施されることになるし、既に今もその改定が行われつつあった。

「じゃあ、奈緒、これでお前は我が家のペットとして仲間入りすることになったのだから、香織と同じように、俺のことはご主人様と呼ぶこと。いいね?それと返事はきちんと“はい”とか“いいえ”の丁寧な言い方にするように。いいね?」
「…はい、…ご主人様、わかりました」
「(おやおや、さっきまでのオタク扱いの呼び捨て口調が、随分としおらしくなったねー、奈緒。念願のペットの気持ちは、どんなだい?)」
黒い征服感を感じ、晋吾は“してやったり”という笑みを浮かべながら、
「では奈緒、早速だけど、我が家のペットとしては邪魔な、その着ているものを全部脱ぎなさい」
「えっ…で、でもぉ…」
「脱ぎなさい。香織も何も着てないだろ」
「い、嫌だよぉ…」
「何でだい?」
「…恥ずかしいから…」
この感覚は、香織には見られなかったものである。
それもそのはずで、香織には元から“羞恥心”というものは排除してあったのに対して、今回晋吾は奈緒にはその“羞恥心”だけは残しておくことに決めていたからである。
これは、それまでの自分に対する非礼の数々を行ってきた“生意気娘”への、ささやかな報復でもあった。

「脱ぎなさいっ!飼い主の言うことが聞けないなら、外に放り出して、野良ヒトにするぞ!」
晋吾は“わざと”語気を荒げた。
「ふぇっ…ふぇーん…」
果たして、奈緒は両手で顔を覆って泣き出してしまった。
しかし、この反応の中には、理不尽なことを強要されたことによる恐怖心や憎しみなどの感情は含まれていない。ただ純粋に“恥ずかしい”だけなのだ。
なので、これは“教育”や“躾”という方法で、矯正させる必要があり、また奈緒もいずれそれを享受出来るはずである。
「ほら、脱ぎなさいっ!」
「奈緒、頑張って」
香織もこれが躾であることは十分に理解できているので、奈緒を庇うよりも、励ますように彼女の肩を抱いている。
「ふぇーん…ふぇっ、ふぇっ…ひっく…」
18歳の乙女が、その若さ溢れる可愛らしい顔を涙で濡らしながら、ようやく観念したのか、Tシャツに手をかけ、スルスルと脱ぎ始めた。

Tシャツの下には淡い色の薄手の綿キャミソールを着ており、それすらも脱ぎ去ると、香織のそれよりも若さの分だけ若干の固さが見受けられる、ツンと上向きの乳房が顕わになった。それは乳輪も小さめで桜色の乳首を持ち、まだ完全成熟はしていないまでも、美乳と言われる部類のものであろう。
こんな恥ずかしい行為は早く済ませてしまいたいのか、奈緒はそのまま多少慌てるような素振りで、ショートパンツに手をかけ、一気に下ろしていくと、可愛い縁取りで飾られたピンク色の綿ショーツが晋吾の目に飛び込んできた。
あれほどさっきまでの言動が気に障っていた奈緒だが、こうして恥らいながらの脱衣ショーを見せ付けられると、当然のことながら、彼の一物は素直に反応し、熱く固い肉棒へ変貌している。

奈緒は立て続けにその綿ショーツも脱ぎ去り、完全な裸体少女となってしまった。
彼女の下半身のデルタ地帯は、ギュッと固く両脚を閉じられているので、その中心部分こそまだ未知の領域ではあるが、今視界に広がるそこは、上のまだ未成熟の美乳とは打って変わっての成熟した陰毛地帯を呈しており、統計比較こそしたことはないが、晋吾が知っている範囲の平均値で言えば、“毛深い”という評価を与えられるものであった。

「(へー、子どもの頃に一緒にお風呂に入っていた時には何も生えていなかったアソコは、こんなにもいやらしい成長をしていたのかぁ。奈緒、卑猥な毛深さだよー。それにしても、あのムカツク女だったのが、今やこんなになっちゃって…)」
そんな感慨に耽りながら一連の脱衣ショーを見物した晋吾の目を避けるかのように、
「…ふぇっ、ふぇっ…ひっく…」
奈緒はまだベソをかきながら、両手で胸と下半身全部のデルタ地帯を覆い隠し、両脚をきつく閉めて、出来るだけ自身の裸体露出面積を狭くしようと、懸命になっている。


(ポチの首輪<第6話>に続く…)

テーマ : 官能小説 - ジャンル : アダルト

妄想商会(20)~ポチの首輪〈第4話〉~*特殊アイテム

翌朝、晋吾はまだ眠い目をこすりながら、新しく日課になった香織の排泄用の散歩に出かけた。
今度はキチンと排泄物をすくうスコップと、それを入れるビニール袋を忘れずに持ってである。

目的の公園にたどり着くと、香織はすでに便意を堪えていたらしく、
「あの…ご主人様、早くしたいです」
と、苦しそうな顔で訴えかけてきた。
「じゃあ、ここでしなさい」
そう言って、園内の歩道沿いの木陰を指差した。
「はい」
言うなり、香織はしゃがみ込み、何の憂いも無く息み始めた。
程なくして、プスッ!ブーッ!プリプリ…とうら若き美女には恥極まりない排泄音を高鳴らせ、心地よさそうな顔で用を足し始める。

朝の公園は、通勤通学の人々や、ジョギングや犬の散歩の人々など、それなりに人がいる。
当然香織が用を足しているすぐ脇を、何人もの人が往来していく。
その片隅で、誰が見ても美女の部類に入る香織が、真っ裸でいながらも、バッチリとヘアースタイルとメイクを整えて、尚且つ臭い排泄を行っている様は、誰がどう見ても異様で破廉恥な光景だが、今は事情が違う。何度も言うが、これはペットを飼育する上での絶対条件なのだ。周囲もそれを当たり前と認知しているので、別にどうと言うことはない世界なのである。

顔と身体の割には立派な排泄物を吐き出し、それを晋吾に処理させた香織は、本当にスッキリした顔で帰りの散歩を楽しもうとしているようだ。
しかし、彼女の肛門の周りは、まだ汚れたままなのだが、これはペットなのだからご丁寧に拭いてやる必要無し…との晋吾の判断である。
帰宅後に、玄関先で水洗いしてやることにしているので、帰り道は汚いオシリのまま歩き回されることになる。

そんな香織を連れて帰途に着いた道すがら、
「あれ、晋吾じゃん」
家の近くの交差点で、聞き覚えのある声で呼び止められた。
「こんな朝早くから晋吾に会うなんて、めずらしいねー。オタクは朝苦手なんじゃないの?」
朝から小生意気な挨拶を投げかけてくる相手は、つい最近まで近所に住んでいた家族の一人娘で、現在高校3年生のはずの“浅井奈緒(あさい なお)”だった。
現在は、以前住んでいた所から程遠くないところに建った新築マンションを購入し、そっちに引っ越したのだ。

幼馴染み…ということもあってか、気兼ね無くは話し掛けてくるのだが、何かと話題が欲しい女子高生にとっては“オタク系”という種族は、面白おかしいネタ部門では役に立つらしく、最近では晋吾を見ると、からかう対象でしかなく、その反応を「ねーねー、ウチの近所に前から知ってるオタクがいてさー」などと、友達との会話のネタにしているらしかった。

「なんだ、奈緒か。おはよ」
「何連れてんの?ペット?まさか飼ったの?」
「ああ、悪いか?」
「アハハハッ、可愛そうなペットちゃん。晋吾に飼われるなんてねー、ちゃんと世話できるの?」
「うるさいな、今だってこうやってちゃんと散歩してるだろ」
「あんたって前から飽きっぽかったじゃない。そのうち捨てられなきゃいいけどねー」
「えっ!?捨てられるって…私がですか?」
「きゃっ!このペット話しが出来るの??」
「あ、あぁ、一応ヒト科のヒトだからな。日常会話くらいはできるよ」
「へー、めずらしい生き物飼ったね。名前は?」
「香織です」
「これ、メスでしょ?まぁ、前からモテない晋吾だったから、メスのペットで慰めてもらってるわけね」
「奈緒、いい加減早く学校行けよ」
「はいはい、っじゃあね。香織、晋吾はちょっとキモイしウザイけど、我慢して飼ってもらってねー」
「あ、…あのぉ…」
「ほら、香織だって返事に困ってるじゃんか。お前朝からうるさいよ。早く行けよ」

半ば追い払うようにして奈緒を遠ざけ、急ぎ早に再び帰途に着いた。
ショートヘアが似合う可愛い顔立ちのくせして、中身は小悪魔的な残忍さを持ち合わせてるんじゃないのか…と、胸の中で恨み言を繰り返しているうちに、
「(でも少し見ないうちに奈緒もそれなりに女になってたな… ………そうか…)」
胸の中でニヤリとする自分がいることに、晋吾も気付いていた。
「(モテないオタクに飼われるペットが可哀相?…ふーん…じゃあ、その気分を実際に味わってみる?…フフフ…)」
黒い企みが、晋吾の胸の中で急速に膨れ上がっていった。


その日の夕方…。

日中に授業そっちのけであれやこれやと考えた策を、実行に移すべく、晋吾は奈緒の自宅マンションへと向かった。
何しろ、この便利な首輪にも弱点があった。
それは“どのようにして首輪を巻かせるか”である。
香織の時は、シルクがその魔力で救ってくれたが、今回はどうやら自力で実行しなければならないようだ。
何度もシルクを呼び出そうと試みたが、どうやらそのコミュニケーションは、一方通行限定なようで、こちらから彼を呼び出す術は無かった。
初期投資はするが、後は自分で開拓せよ…の方針なのか。何やらベンチャー事業に投資する投資家のようである。

さて、奈緒の自宅マンション前まで辿り着いた時には、既に辺りは初夏の日が長い夕方とは言え、薄暗くなってきていた。
奈緒は既に帰宅しているはずの時間なのだが、晋吾は入口付近でひたすら誰かを待っているようである。

しばらくして、そのお目当ての人物が向こうから歩いてきた。
奈緒の母親である。
奈緒の家は晋吾の親と同じく共働き家庭で、父親の帰宅はいつも深夜近くということは、長年の近所付き合いで承知していることである。
「あ、おばさん。こんばんは。お久しぶりです」
「あらー、晋ちゃんじゃない。ひさしぶりねー、元気してた?洋子ちゃんはまだ帰ってないんでしょ?」
“洋子”というのは、晋吾の母親の名前であり、奈緒の母親と晋吾の母親とは、単なるご近所さんという間柄ではなく、実はこれまた学生時代からの幼馴染みだったのである。
なので、晋吾と奈緒も幼少の頃から一緒に遊ばされる事も多く、海外出張が多い晋吾の家庭を気遣ってか、幾度となく奈緒の家に寝泊りさせてもらったこともあった。

「ええ、両親はまだ帰国してません。でも、うちの母親からおばさん宛に、現地からおみやげが届いていたのを渡すのを忘れてしまっていて…」
「あら、そうだったのー。それなら電話してくれればいいのに。ずっとここで待ってたんでしょ?…ははぁ、奈緒が電話に出るのが嫌なのねー。あの子、最近特に生意気なことばかり口にするから」
「ははは…ま、まぁ、そんなとこです…」
少し恐縮気味に返事をしたが、確かにそれも本音の一つではあるが、一番の本音は彼女の次の言葉を待つためであった。果たして、
「でも、わざわざありがとね。あ、晋ちゃん、もう夜ご飯食べたの?まだだったら、うちで食べて行きなさいよ。いつも一人きりで寂しいでしょう」
「あ、は、はい…実はまだなんです。でも、ご迷惑じゃないですか?」
「何言ってるのよ。ちょっと前まではいつもそうしていたでしょう。うるさい娘がいるのは我慢してね。それにどうせうちの人は帰り遅いし」
「じゃあ、お言葉に甘えて…」

そう、これである。このタイミングを待つために、こんな薄暗い時間を選んで、ここに来たのだ。
こうなることは、これまでの経験でよく分かっていた。
このおばさんが、夕食時間に訪れた晋吾を、そのまま帰すわけがなく、これが一番自然に奈緒に近づく手段であったからだ。

「ただいまー。奈緒、帰ってるんでしょー?」
「おかえりー」
奥の方から返事はするが、母親の帰宅に出迎えもしない、生意気娘である。
まぁ、年頃の子供を持つ家庭では、ごく当たり前の風景だろう。
「さ、遠慮せず上がって」
「はい、お邪魔します」
母親に連れ立って家の中を進むと、キッチンの奥のリビングで、奈緒がソファに座ってテレビを見ていた。
ついさっきお風呂から上がった様子の洗い流しのままの髪に、首にはまだタオルをかけたままで、Tシャツにショートパンツといった、完全な部屋着スタイルに、思わずドキッとする色気を感じてしまったのは、奈緒の身体の成長によるものなのか、それともこれから起こそうといている、黒い欲望のせいなのか…。

「げっ!何で晋吾が一緒なわけ!?やぁー、もぉー、最低!」
「奈緒!、もう、久しぶりに来てくれた晋ちゃんに向かって、そんなこと言うものじゃないわよっ」
「今日の朝だって会っちゃったもん。はぁ…二度も晋吾に会うなんて…今日はツイてない日だわぁ…」
このクソ生意気な物言いに、晋吾は張り倒してやりたい衝動に駆られたが、ぐっと堪えた。
この後の計画のこともあるが、何よりも奈緒は幼い頃から合気道を習っているので、幼少時もよく泣かされたのに、成長した現段階で、格闘においての晋吾の勝ち目など、万に一つもないであろう。

「あら、今朝、奈緒と会ったの?」
「はい、朝、外でばったり会ったんですよ」
「で、何で晋吾がこんな時間にうちに来るのよー」
思い切り不満そうな顔で、奈緒は母親に噛み付いている。
「ほら、これ。洋子さんがお土産送ってくれたのを、わざわざ届けてくれたのよ」
「ふーん…って、これ、送付の日付が一ヶ月も前じゃん。どーせ晋吾のことだから、部屋に置きっ放しで忘れてたんでしょ」
図星である。
きっとこんな展開にならなければ、このまま忘れ続けていたかもしれないくらいに、晋吾にとっては面倒でどうでもいい代物だったのだが、思案の挙句、今は目的のための大変貴重な“コミュニケーション・アイテム”になっていた。

「晋ちゃんだって、毎日学校とか家のこととかで一人で大変なのよ。でも、思い出して届けてくれただけ偉いじゃない」
「ふーん、で、こんな晩ご飯時間に一人で来るなんて、“愛しの香織ちゃん”のお世話は大丈夫なわけ?」
皮肉たっぷりの口調で、奈緒が口を挟む。
「香織…ちゃん?えっ!?もしかして晋ちゃん、ガールフレンドできたのー!?」
「ちっ、違いますよ!ペットですよ!ペットを飼い始めたんです。つい最近ですけど」
「へー、香織って言う名前なの?何か人の名前みたいねー。メスのワンちゃん?」
「え、えーっと、…ヒト科のヒトなんです」
「ヒト??えっ、…あ、あぁ、“ヒト”ねー。まためずらしいものを飼ったのねー。お世話って大変なの?」
「いえいえ、言葉もある程度話せますし、飼うのはすごく楽ですよ」
ペットの種類を聞かれて、晋吾は些か動揺したが、やはりシルクの環境変化能力は大したものである。
ここまで来ると、もう誰に話しても“ヒト科のヒト”という、人間社会とは別の種の“ヒト”がこの世界には存在していることが当然なのだと、図々しく認識できた。
いずれ、テレビの動物番組などでも取り上げられる日も、そう遠くないかもしれないと、少し馬鹿げた発想が頭を過ぎった瞬間に、再び奈緒が生意気な口を挟んできた。

「世話が楽って、ズボラな晋吾にはピッタリのペットだよねー。それも、メスのヒトなんて、まるで“僕はいつも寂しいので、慰めて欲しいよー”って言ってるようなものだよね」
「奈緒、お前なー…」
あまりにも図星の部分を突かれて、さすがに腹が立つ。
まぁ、いいさ、もうすぐお前にも慰めてもらうんだから…と、自分に言い聞かせることにした。
「ほらほら、久しぶりに会って言い争いはしないの!ご飯にするわよ」
おばさんの仲裁で、ようやく3人での食事となった。

3人での食事をしながら、晋吾は内心で「こんな親子の関係を“無”にするのは、ちょっと気の毒な気もするけど…まぁ、変化があったからといっても、悲しみが伴うわけではないし…こんないいおばさんには悪いけど、奈緒のことはちゃんと世話するから許してね」などと、すっかりダークな思想が板に付いたようなことを考えながら、“その瞬間”のタイミングを待っていた。

果たして、食事も終わり、食後のお茶を頂いていると、
「で、晋吾、アンタいつまでうちにいるつもり?」
と、奈緒があからさまに“早く帰れコール”を浴びせてきた。
「奈緒、久しぶりに来てくれたんだから、ゆっくりしてもらったっていいじゃない。あなただって、以前はよく遊んでもらったでしょう」
「えー、だってぇー、晋吾って何かキモイんだもん。どーせ連れてくるなら、もっとイケメンでも連れてきてよ」
「キモくて悪かったな!」
ホントに腹が立つ小娘である。
まぁまぁ…と、自分をなだめる心の操作にも、幾分疲れてきた。
「そりゃあ、イケメンの方がいいだろうけどさ、奈緒、お前彼氏の一人でもいないわけ?」
「彼氏?…アハハハ、特定の男なんて面倒くさいじゃん。そ・れ・にぃー、私くらいのレベルだったら、その気になればいつでも作れるから、別にまだいらなーい。適当に遊べる相手だけでいいのっ」
「お前…完全に世の中舐めてるな」
「いいでしょ。アンタと違って器量的には恵まれた者の特権よー」
そんな性格だから、誰も本気で付き合ってくれないんだよ!と、心の中で悔し紛れの文句を叫びながら、表面では穏やかに、
「ハハハ…。確かに俺よりかは苦労は無さそうだもんな。そうそう、これやる?」
そう言って、鞄から一つのゲームソフトを取り出した。
「あ、これって、最近出たばかりのやつじゃんっ!もう買ったんだー、さすがオタクよねーっ」
「一言余計だよ。ちょっとやってみる?」
「やるっやるぅっ!」
言うなり、奈緒は部屋からゲーム機を持ってきて、早速ゲームに浸り始めた。
奈緒のゲーム好きは、今も昔も変わりないようである。

「ねーねー、ここはどうするの?」
「ん?あぁ、そこはね…」
「まぁ、こう言う時だけ仲がいいのねー、晋ちゃん、ゆっくりしていってね。おばさん、ちょっとお風呂頂くわ」
「あ、すみません、適当に帰りますので。どうもごちそうさまでした」
これも都合よく、おばさんがこの場から離れてくれた。
後は、“その時”を待つばかりである。

それから少しの間ゲームに没頭してた奈緒であるが、急に目がうつろになり、頭をカクンカクンとさせはじめた。
「ふわぁぁ…何かすごく眠くなってきちゃったぁ…。晋吾、私、もう寝るわ。おやすみー」
少しフラフラフワフワした足どりで、別れの挨拶も適当に、奈緒は自分の部屋に入っていった。

ついに“その時”が訪れたのである。
それも、おばさんが入浴中というナイスなタイミングで…。
実は先程の食後のティータイムで、食後のせめてものお礼に…ということで、晋吾がお茶を入れに行ったのだが、その際、奈緒のお茶にだけ、砕いて粉にしておいた睡眠薬を混入させておいたのだ。
睡眠薬は、晋吾の両親が長旅でのストレスによる不眠症対策でいつも常備していたのを、知っていたので、思案の末思いついた方法が、それの使用であった。

奈緒が部屋に入ってから数分後、そーっと彼女の部屋を覗いてみると、思惑通りに奈緒は既にベッドで眠りについていた。
ニヤリ…晋吾の目が怪しく光り、寝ている奈緒に近づいていった。当然のことながら、その手にはしっかりと“首輪”が握られている。
奈緒の枕元に立つと、そーっと数回彼女の肩を揺すってみた。…反応無し。
いよいよである。
改めて奈緒を上から見下ろし、
「(奈緒、これからお前の人生は“ヒト生”に変るんだよ。もう俺の前ではさっきみたいな生意気な態度は出来ないし、俺から離れたら、単なる“野良ヒト”になってしまうんだよ。この家やこの部屋、このベッドで寝るのも、これが最後だ。朝、あれだけ惨めだと罵った“ヒト科のヒト”のペットになる時がきたんだよ…)」
と、心の中でつぶやきながら、彼女の首に首輪を巻きつけ、そして金具を止めた。

次の瞬間…。
ブンッ!と一瞬、めまいと言うか、時空の歪みみたいな現象が起きたかと思うと、すぐに止んだ。
香織をペットにした瞬間と同じ現象だったので、晋吾にはもう動揺などなく、その後の変化も“予想通り”という態で周囲を見渡していた。

そこは…。
先程の奈緒の部屋ではない。単なる何も無い空き部屋になっていた。部屋の片隅には、おばさんとおじさんの物であろうと思われるゴルフバッグが二つ置かれていたり、何が入っているのか分からないダンボール箱が数箱積まれているだけ…という殺風景な部屋である。
どうやら、荷物置き場という役割だけの部屋のようだ。
首輪を巻かれた奈緒はというと、その部屋の床に、ただ転がって寝ていた。

後は状況整理である。
もうこの家に奈緒という娘がいた事実は“無”になっているので、このまま奈緒がここに寝ていては、状況の辻褄が合わなくなる。
“ペットを無断で家の中に連れ込んだ”という、この家の主に対して非常に失礼な既成事実が出来上がってしまうからだ。
なので、寝ていることでかなり重くなっている奈緒の身体を、音を立てないように玄関の外まで運び出し、首輪に付けた引き綱と、通路に面している窓の柵とを繋いで、そこに寝かせた。
マンションの建物内にペットを連れ込んだということだけが、マンションのルールに少し抵触するかもしれないが、まぁ、その辺は家の中に入れなかったことだけでも、大目に見て欲しいところである。

再び家の中に今度は晋吾だけが戻り、リビングで待つことにして程なく、おばさんがお風呂から上がってきた。
「あら、晋ちゃん、一人で待たせちゃってごめんなさいねー。もう眠くなっちゃったんじゃない?」
「あ、いえいえ、大丈夫です。ご飯までご馳走になって、何も言わずに帰ることもできないので…。今夜は本当にご馳走様でした。おいしかったです」
「こちらこそ、お粗末様でした。またいつでも遠慮なく食べに来てね。ほら、どーせおばさんはいつも“一人で”食事だし…。あの人ったら、まーだ帰って来ないのよねー」
「おじさん、いつも遅いですもんね。…では帰ります」
「あら、そう。じゃあ、玄関まで送っていくわ」
そう言って、彼女が晋吾を送り出しに玄関外まで出てみると、そこには奈緒が今だ寝ており、
「あらっ!あ、これが晋ちゃんのペットなの?食事の間、ずっとここにいたの?」
「ハハハ…、すみません。ペットですから、家の中に入れるわけにもいかないし、一階の入口に置いておくのも心配だったので、ここまで連れてきちゃいました。ごめんなさい」
「いえいえ、それはいいのだけれど…これがさっき話していた“香織ちゃん”?」
「違います。これはもう一人の“奈緒”という名前の方です。二人飼っているので」
「そうなのー。へー、ヒト科のヒトなんて初めて見たわ。けっこう可愛いのねー」
「ありがとうございます」
礼を述べながら、少し乱暴に奈緒を揺り動かし、
「ほらっ、奈緒!起きなさい!帰るぞ!」
「んっ、うっ、うぅーん…」
まだ薬の効果で朦朧としながらも、それでも健気に立ち上がり、
「ん!?…帰るの?」
と、寝ぼけ眼で反応してきた。

「あぁ、帰るよ。ほら、おばさんにご挨拶は?」
「ふぁーぃ…おばさま、おやすみなしゃい…」
「あら、上手におしゃべりできるのねー。ヒトだったら、今度は家の中に入れてもいいから、また連れてきていいわよ」
「はい。ありがとうございます。では、おやすみなさい」
別れの挨拶を済ませ、まだ少し千鳥足の奈緒の手綱を引きながら、晋吾の家への家路についた。

おばさんと奈緒…これまでの親子関係は、今のやりとりでも明白なように、それまでの全てが“無”になっていた。
首輪に繋がれた“元愛娘”を、今は笑顔で手を振りながら送り出している彼女の姿を背中に感じながら、晋吾と新ペットの奈緒は、エレベーターの中に消えていった。


(ポチの首輪<第5話>に続く…)

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